音楽と形式と

音楽について好き勝手語ったり解説したり

ひやおろしの季節にアメリカの風

みなさん。ついにこの季節が来ましたね。
そう、ひやおろしの季節!日本酒には所謂”季節モノ”があるのですが、その中でも秋口に流通するひやおろしは個人的に好きな酒蔵がすべて当たりを毎年出してくれる。

私は辛口派で、どちらかと言うと端麗よりは日本酒度も酸度もある程度あってほしいタイプなのだが、これにひやおろしのまろやかさが加わると本当に最高なのだ。
風味と香りに奥行きが出るとでも言えるでしょうか。

さて、私はよくお酒を呑みながらクラシック音楽を嗜みます。
基本的にお酒も飲みたいし、音楽も聴きたいという二重の欲を叶えるために行っているのであって、これは仕方のないことなのです。

とくにこういった場合は日本酒の香りや味わいに演奏の内容が引っ張られてしまうことが想定されるから、初見の曲は選ばない。
そうなると聴いたことのある曲から選ぶことになるが、正直アイヴズの2番がこのところずっと第一候補である。

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まず冒頭一楽章、弦セクションのメランコリックさすら感じる展開の間に注ぎ立ての日本酒の香りを楽しむ、口先がアルコールに慣れてきたあたりで、気づくと一楽章で2回はリピートされる童謡パートに突入だ。
前半の弦セクション主体のテンションに比べるとかなりとっつきやすくキャッチーなメロディが次々と現れるが、これがまた酒場感を心の中へ運んでくれるのだ。
最後は堂々とトランペットが夜明けを告げるが、最後はさわやかにトロンボーンの上昇音型。そしてまるで優しさに満ち溢れたような2楽章へ入るのだ。

アイヴズの散りばめた庶民的なアメリカの風が、一人でアルコールに酔っぱらう私をより深い自己陶酔へと導く。
中二病だろうか?いや、成人がお酒を呑む時なぞ、その程度で良いのだ。それで誰が迷惑を被ろう?

酔うために酒を呑み、音楽を楽しむために音楽を聴く。両者は交わることは決して無いのだが、互いが互いの理解を助けるならそれは許そう。

願わくば、アイヴズの2番のポケットスコアを発売してほしいものだ。
日本酒の香りを楽しみながらアイヴズの残した音楽美を探したいのだ。

さて、3楽章も残りわずかだ。
チョコレートのような甘い香り、もう一杯注ぎに行こうか。
次はエルガーの2番でも聴こうか。

 

【あとがき】
これをご覧のみなさん、同じようにお酒に合うクラシック音楽があればぜひコメントください!一つでも多くの音楽を私は味わいたいと思っています。