音楽と形式と

音楽について好き勝手語ったり解説したり

クラシック音楽

芸術と製品、観照と享楽(現代感情美説批判)

音楽(テキストを持たない器楽、クラシック音楽)は芸術なのでしょうか。それとも製品なのでしょうか。CDなどの記録媒体の普及によって、音楽が生演奏という一度きりの体験ではなく、同時に複数の地点に現れることができるようになった今日では、芸術である…

堅物な僕も変わるもんだなぁ……

さて、きっと後にも先にも出現しないであろうクラシック音楽解説系Vtuberの緑川ユウですが、動画投稿がかなーり滞っています。言い訳すると、今まで動画で使う音源はmusic scoreで作成した簡素なものだったんですが、今回からは所謂ソフトシンセでがっつり音…

【愚痴】忘れ去られた”プロ”という名の高邁な精神

”プロ”という言葉がいつの間にかこんなにも軽んじられているのはなぜだろうか。SNSの発達で誰しも自分の創作物を見てもらえる環境になった。それはいいことだ。教育の向上や環境の整備によって、平均的な能力は一昔前より高まっている。それもいいことだ。な…

シベリウスがくれたもの

本日はシベリウスの生誕日です。彼の音楽との出会いは高校生の頃。当時所属していたオケでシベ2をやることに。そこから気づけばアマゾンで片っ端から全集を買いあさる日々。音楽を聴くこととは、この次に音がどっちに行くのか予想して、まるで連続するクイ…

『運命』という重み、ここだけの話

昨日ベートーヴェンの交響曲第5番1楽章の解説動画をUpしました。 youtu.be 完成度とか内容の深さで言うと、正直他の動画と比べてどうかなといった感じです。今まで解説してきたのは展開部で必ず第一主題と第二主題が展開されており、解説していてとても気…

Cで始まってDで終わってみる実験

アナリーゼの休憩中にふと自分でも軽く音楽を作りたくなって、ふとこんなことをやってみた。「C-durで初めてDで終止してみよう」なんとなく、関係調でもない単に一つ上の調への転調は意外と難しいのかなーと思いつつ、適当にコード進行を作ってみる。 ※音量…

【音楽美学】音楽は性質の束なのか?

みなさんはものの本質を考えたことがありますか?そのもの自体の中で、どんな環境でも変わらずにその存在を確認できるものが”本質”であると私は考えています。例えば、ハンバーガーの「味」というのがもし人によって異なるのなら、それは本質ではなく、ハン…

【形式美】ベートーヴェン交響曲第2番1楽章を解説

みなさん、こんにちは今回はベートーヴェンの交響曲第2番1楽章を解説していきます*1。 ※この記事は投稿した下記動画のテキスト版です。よろしければ元動画もご視聴いただければ幸いです。 youtu.be まずは全体像から 提示部 展開部 再現部 Coda 解説終了!…

わたしがブログを書く理由

特別お題「わたしがブログを書く理由」私のブログを読んでいただく方はもうお察しかと思うのですが、私の音楽観にはとある美学者が強く関係しています。彼の著書『Vom Musikalisch-Schönen』を読むまで、私は自分のような考え方を持つ人間は極めて少数派だと…

ひやおろしの季節にアメリカの風

みなさん。ついにこの季節が来ましたね。そう、ひやおろしの季節!日本酒には所謂”季節モノ”があるのですが、その中でも秋口に流通するひやおろしは個人的に好きな酒蔵がすべて当たりを毎年出してくれる。私は辛口派で、どちらかと言うと端麗よりは日本酒度…

【PV100に感謝を込めて】最高のベートーヴェンNr.5

先日の投稿で、今月PV数100を達成できました。私にとってブログは長文を投稿できるツイッター感覚でしたので、当初反応をいただけるとすら思っておらず、毎回いただける★に対して驚きと感謝でいっぱいです。重ね重ね見ていただいている皆さん。ありがとうご…

クラシック音楽が流行らない理由

クラシック音楽がなぜ流行らないのか、おそらく多くの考察がされていることは想像に難くない。個人的には、クラシック音楽が「音楽のための音楽になってしまったから」という理由が多いように感じる。つまり、聴く人のためではなく、音楽のための音楽である…

バーンスタインの思い出

本日はあのレニーの生誕日であることを知り、急いで筆をとる。最近の若い音楽家にはもしかしたらレニーと言っても通じないのかもしれない。レナード・バーンスタイン、今日は彼の誕生日なのだ。彼の演奏で一番好きなのはこの大学祝典序曲。*1(カラヤンのチ…

クラシック音楽をオワコンさせるもの

少し前に日本の音楽教育について以下のようにツイートした。 ドイツ料理がみんなの口に合うわけじゃない。中華が好きならそっちを選ぶ。色々なものが食べれるファミレスで、好きなものを語り合ったら楽しいし、自然と関心も深まる。この店には『運命』しかな…

ヴァンハルという僕の救世主

ヴァンハルという作曲家をご存知でしょうか。 1813年の本日に没した古典派の作曲家のことだ。 本来、曲のアナリーゼとセットで紹介したいところ……なのだが、彼の楽譜は入手が難しく、とくに私の好きな曲は某IMSLPにも無かった気がするので、主観全開の文章に…

魂の演奏

『展覧会の絵』と言えば何を思い浮かべるだろうか。 多くの人にとってはきっとトランペットのソロで始まるラベル版だろう。 おそらく最もすぐれた編曲はラベル版であるということは言うまでも無いとして、でもそれだけじゃないよねと通な方々は思いますよね…

ニールセン交響曲第1番1楽章を解説

交響曲第1番の解説です。

音楽は何も表現しない

音楽は内容を持つのか。音楽は何かを表現できるのか。ずっと私は考えている。クラシック音楽が流れるテレビ番組がその構造について述べることなく、その作曲者の生きた時代の解説や、生まれた場所の風景を映していることに、疑問を持つことは日常茶飯事だっ…

感情の動的なもの ~ルロイ・アンダーソン『Forgotten Dreams』に見る~

youtu.be とある音楽美学者は音楽は特定の感情を表現しないとした。それは音楽とは無対象芸術であり、それ自体が目的であるという主張だ。 しかしその一方で「感情の動的なもの」は表現されるとした。具体的な感情は表現できないが、あくまでそのモーメント…

ニールセンの交響曲第3番第1楽章について

交響曲第3番の解説です。