音楽と形式と

音楽について好き勝手語ったり解説したり

教師に取り上げられたスコア

先日、音程の数え方についての動画をアップしました。とても軽い内容で、初心者向けの動画になっています。ぜひご覧いただければ幸いです。

さて、この音程の表現方法というのは私の記憶が正しければ高校の音楽の授業でも習う内容でした。そしてテスト範囲に含まれると、おおよそ音楽関係の部活動や習い事に参加でもしていない限り「楽そうだから『音楽』を選択したのに」と文句が出そうな内容でもあります。

本日はそんなキッズの頃の思い出話に少々お付き合いください。

youtu.be

 

 

当時の私は”音楽の先生”と対立する関係でした。
当時私の在籍する課外活動は年間予算2万円である"愛好会"に過ぎない吹奏楽のサークルでした。部員は2桁もおらず元来野球応援のために立ち上げられた小規模なサークルだったのです。
それに対して、音楽の先生が率いる合唱部は予算は15万以上ある部活で意識が高い雰囲気を醸し出していました。
しかし悲しいかな、私のいた学校は運動部がかなり人気であり、文化部はどこも人員確保だけで精一杯。結果として陰気な雰囲気というか、本当にそれが好きな人しか集まらない部活がほとんどでした。

 

我が愛好会は所謂吹奏楽連盟的なやつにも加盟していないのでコンクールにも出場はしません。本当に好き勝手放課後に楽器をやって、せいぜい夏には野球場の応援席で、チャンステーマを少数アンサンブルするだけです。
部室は中庭に面しており、冬場は隙間風でチューニングが半音下がり、管を詰めても正規のチューニングに戻せないため、半音下げチューニングで練習をしました。

それに対して歴史深い合唱部様はさすがです。コンクールにはちゃんと出場するし、学内イベントではよくその美しい歌声を響かせます。
何より冷暖房完備です。夏涼しく、冬暖かい。加湿器だって完備されており、これでチューニングが狂ったらそれは個人の責任です。

そんな合唱部様ですが前述の通りの運動部有利な校風のため、兼部している生徒も多かったです。しかし、その勧誘の方法はかなり強引で、中には兼部先の部活をメインにしたいのに合唱部にばかり時間を取られているという生徒までいました。
我が吹奏楽愛好会も例外ではなく、数少ない学内発表の場である文化祭ですら、開催日の1週間前にはじめて全員集まった合奏練習ができる有様。代表である私が合唱部と兼部する子に、なぜ練習に来ないのか聞くと、合唱部に行かないと先生に何か嫌味を言われるからと泣きながら訴えられたのは衝撃的だった。
ちなみにこの愚痴を他の部活の代表に話したところ、「ああ、うちもだよ。だから来年からあそことの兼部は禁止にした。」とのこと。

こういうわけで、私は”かの音楽教師"は嫌いだった。
あまりにも嫌いすぎて、この音程について取り上げた授業では教師の話そっちのけで当時はまっていた曲のポケットスコアを堂々と机上に置き読んでいました。


そうしたら案の定、没収された。

 

まぁ当然と言えば当然だろう。しかし、当時からひねくれていた私は授業後廊下に呼び出された際に「スコアを読んでいたのは(クソみたいな)授業を寝ないための自主学習のつもりでした」と言った。

当時の私は哀れなことに、音楽の授業というのは音楽について学ぶものではなく、音楽を通じて教養を学ばせる場であるということを知らなかったので、音楽についての知識をただ点数を取るための手段足らしめる教育には吐き気がしていた。

 

歌のテストも曲の感想文もクソくだらん。
音楽の授業なんて大嫌いだ。

 

もしこのブログを読んでいただき「いや、それはお前のところがハズレなだけだろ」と思った方、きっとあなたは恵まれている。そのすばらしい先生に感謝した方がいい。

私は”音楽の教師”の言葉より、スコアに記載されているフィナーレで連打されるAの音について考える方が百倍以上有意義だったから。

 

 

次回はもっと明るい話題について書きますので、またのご来訪を心よりお待ちしております。

 

"かの音楽教師"は風紀を乱す生徒からショスタコーヴィッチの交響曲第5番のポケットスコアを取り上げた。